2015/09/22 20:34
知将エディージョーンズ氏は、バイエルンの監督であるヘップ・グラディオーラからも学ぶ姿勢を忘れず、貪欲に学びつづけている。メンタルコーチからも、最新の論文を提供してもらい、人の心の不思議についても熟考しつづけている。
よく使われた、PDCAサイクルであるが、育成面から考えた場合、このサイクルは成果を上げるだろうが、勝負の世界となると、このサイクルでは、結果が出ない、失敗するとスポーツの世界でも、ビジネスの世界でもいわれている。計画を立て、行動し、評価して、改善するという、サイクルが勝負の世界では通用しないようだ。
エディージョーンズ氏の前の代表スタッフのコーチングスタンスは「見て」「判断して」「行動する」とあった。この思考は、勝負の世界でどのようにとらえられるのかを考察する。
アメリカ空軍ボンド大佐が考えた、徹底的に勝利する思考ループが、OODA(ウーダ)ループである。観察、情勢判断、意志決定、行動というサイクルを、相手より高速回転する思考法である。戦術も、プレイヤーもこのサイクルを高速でループすると、相手の弱点を見つけ、そこを攻め主導権を握ることが出来る、これは、ポゼッション、テリトリーという意味だけでは決してはない。アタックにおいても、ディフェンスにおいても相手を手中に納めることが出来る。コントロールできるのである。南アフリカ戦は、キックオフにおいても奇襲、ラインアウトにおいても奇襲と相手の思考方向を散漫にして、支配下に置いた。通常は、奇襲など、効果のない成果で終わることが多いが、徹底されていた。
エディは、よく、昔はこういっていたとか、昔と今では、違うことを言っているとよく言われているようだが、PDCAサイクルでたてた当初の計画が、戦術とすれば、ころころ変わる言説に疑いの目を向けるのも無理はないだろう。しかし、目の前の敵を徹底的に叩きのめすOODAループで考えるなら、何周も何周もして、対戦相手に対して適応した戦い方をするのは、当然となる。当初の計画、戦術では、負けることが分かっているのに、思考が硬直するのはよくないことだ。日本の指導者には、育成と強化が臨まれており、棲み分けが難しいところだが。
スコットランド戦は、南アフリカと対戦したような闘いとは、違う戦い方をするだろう。それは、OODAループを高速回転し、スコットランドに適応した戦い方である。プランαが、楽しみである。準備期間は、短いがプレイヤーが、そのようにミッションを遂行するか楽しみである。肉体的には疲れがあるが、フレッシュレッグ(新メンバー)、と積み重ねたハードワーク、そして、新たな思考法に完全適応するために、準備期間が短いことの方が、吉と出るかもしれない。
この思考方法に、適応したジャパンメンバーは、「適者生存」というラグビー界の新たな一歩を踏み出したことにおいても大きな価値がある。「上手いものが選ばれていない」「強いものがメンバー外だ」「監督の方針は、ころころ変わる」とは、生存競争において適応出来なかったものだろう。という、私も、適応は出来なかったが。